ヒトにはお勧めしない、ガーナ旅:ガーナのコドモたち

ガーナのヒトビトはとても人懐っこいです(良くも悪くも)。非黒人の存在がとにかく珍しいので、歩いているだけでやたらめったら声をかけられ、時にかなりしつれいなヒトビトだなあ、と思うことも(^_^;)

ガーナの公用語は英語ですが、地元の人同士で話すときは各地域の現地語を話します。とはいえ幼稚園から英語教育をしているので、小さな子供でも英語を話せ、How are you?と頻繁に挨拶されます。筆者はコドモ好きではないので、テキトーにあしらっていましたが、それでもウヨウヨと近寄ってくるコドモたち。カワイイ笑顔でびっくりするコトを言われたりします。

教育大学附属小学校のコドモたち

筆者がガーナくんだりまで出かけていったのは、高校時代の恩師が教育大学の講師として赴任していたからなのですが、恩師ご夫妻のお住まいは学校の敷地内にあり、なにしろ教育大学なので付属小中学校もありました。恩師のお宅へ伺う途中、木登りして遊んでいる小学生男子を見つけ、「わー我が国の都会では昨今とんと見かけなくなった、木登りするコドモ!」と珍しがって眺めていたら、そのうちこの男子たちに取り囲まれました。

木登りする小学生男子
附属小学校の小学生男子

「チュイ語は喋れますか?」と、まずはこの地域の現地語を話せるかどうかを英語で尋ねられ、話せない、というと英語での会話となりました。そのうち、コドモのヒトリがこう言います。「日本のおもちゃをちょうだい」と。

「おもちゃをくれ」と言われればまだカワイイ感じがしますが、実はガーナのコドモたちはやたらと「お金をくれ」と言ってきます。筆者が外国人だからなのか、はたまたコドモは日常的に大人にお金をねだることになっているものなのか…。とにかく、会うコドモ会うコドモ、ほぼ全員が「お金をくれ」と言い、あるいは物をよこせと言ってきました(^_^;)

ちなみに、附属小学校にきちんと通っている子どもたちですから、それほど貧しい感じでもありません。この後お金をねだってきた他のコドモたちも、肉付きは良く健康そうで、身なりも比較的きちんとしていて、超絶貧困層というわけでもなさそうでした。

附属小学校のコドモたちに出会ったのは、ガーナに来て二日目のことで、まだ彼らの動向を把握していない筆者は「おもちゃをくれ」というのを真に受けて、手元にあった折り紙で四角錐の小物を作ってあげました。ヒトリ一個ずつ欲しがったので、数人のコドモに一つ一つ作るのが大変でしたけども…

ろう学校のコドモたち

恩師の知人である日本人女性が赴任しているという、ろう学校へ行ったときのこと。

赴任先の学校を見学させてくれるとのことだったので、前日に教えてもらったアクセス方法で学校まで訪ねていきました。学校についたらドコに彼女を訪ねていけばいいのかを聞いたトコロ、「みんなが連れて来てくれるから」との答え。

これを聞いた時は意味がよくわからなかったのですが、学校の敷地に足を踏み入れた途端、コドモたちが寄ってきて、筆者の手を引いて彼女の住まいまでいざなってくれました。コドモたちには「外国人=彼女の知人」という認識ができているんですね。

ココのコドモは耳が聞こえない子たちなので、会話は手話(アメリカ手話)で行います。筆者は手話を知らないので、コドモたちと直接会話をすることはなく、ここでは仮に「お金をくれ」と言われたとしてもわからなかったワケですが、代わりに写真を撮って撮ってとせがまれました。

ろう学校のコドモたち

ガーナ人の中には写真を撮られるのが嫌いな人もいると聞いていたので、それまでヒトに迂闊にカメラを向けるのは避けていたのですが、「ここの子は写真が大好きだから」と促されて撮りまくりましたよ。

「お金をくれ」発言に次いで不思議な国民性なのですが、通りすがりの筆者に「写真を撮って」と頼んでくるヒトが、コドモに限らず大人でもたくさんいました。筆者がカメラを構えると、Vサインをしたりしなを作ったポーズをとったりします。撮影が終わるとモニターを見たがる人もいますが、全く見ない人もいます。そしてその写真をくれ、というワケでもなく、撮ってもらったら満足して去っていきます。なんなん?(^_^;)?

おかげで良い写真がたくさん撮れましたけども。

ろう学校の中学1年生。掃除係の2年生が寮の寝室を掃除しないから汚い、僕が2年生になったらちゃんと掃除する、と言っていた
ろう学校のキッチンスタッフの女性。子連れ出勤はフツーみたい
ろう学校の女子生徒
ろう学校の教室

きのこハウス村のコドモたち

ガーナ赴任中の日本人の間で「きのこハウス」と呼び習わされている伝統的な家屋が、ガーナ北部にあります。土壁にわら屋根を載せただけの実に原始的な建物で、豪雨が続けば壁が崩壊することもあるそうですw。バスで北部に向かう途中で、道路脇にあるのを既にいくつか眼にしていたのですが、もっともっと奥地の辺鄙で不便な村に赴任中の方がいて、そこにはもっとたくさんのきのこハウスがあり、村内を案内していただけるとのウレシイ申し出をいただきました。

赤土の大地に草木がぽつぽつと生えている、道が舗装もされていない村へ行くため、普通のタクシーではなく、東南アジアでもよく見かける三輪自動車をチャーターして行きました(イエローイエローと呼ばれているそうです。黄色い車体のものが多いからでしょうか)。運賃の交渉は全てその村に赴任中の日本人女性がしてくださいました。

イエローイエロー。この車体は青だけども

ちょうど新築したばかりのきのこハウスがあったので、中を見せていただきました。ガーナは蒸し暑い気候ですが、日陰に入ると意外と空気がサラッとしていました(乾季だったからカモ)。風通しの良い樹の下にいると本当に快適で、木陰=ガーナにある最良のもの、と言ってもいいくらい。きのこハウスの中=風通しの良い日陰なので、木陰に匹敵する快適さ。こういう宿泊施設があれば是非泊まりたいものですが、ガーナはそもそも観光事業というものがあまり発達していないようで、そういう施設はまだなさそうです。筆者を案内してくれた女性は、この村にきのこゲストハウスを作りたいと考えているようでしたが。

ブランニューきのこハウス
きのこハウスの屋根の裏側

さて、この村のコドモもとても人懐っこかったです。日本人の居住者がいるので、白人(非黒人は白人と呼ばれる)珍しい!とはしゃぐ感じではありませんが、ヤハリ「写真撮って」と群がってくるコドモばかり。日本人女性3人で訪れたのですが、それぞれの日本人と1枚ずつ撮られたがるという、新しい攻撃もありました。

ココでも良い写真がたくさん撮れました。

「お金くれ」と言われたかどうかはあまり記憶にありませんが、言われたかもしれません。

きのこハウス村のコドモ
きのこハウス村のコドモ
きのこハウス村のコドモ
きのこハウス村のコドモ
日本人一人一人と写真を取りたがるきのこハウス村のコドモ

がっかり動物園ではしゃぐコドモたち

恩師の赴任地はガーナ第二の都市、クマシ。近所に小さな動物園があり「先進国の動物園に比べたらそりゃもうがっかりするような出来」と聞いて、ヘンなモノ見たさで侵入を試みました。ぼんやり歩いていたら入り口を発見しそこね、ぐるっと一周しかかってしまいましたけども。

動物園の正門には、飼育している動物の絵が描かれている。いない動物も描かれているケド。
わかりにくい動物園の正門

入園料は、20セディ。このときのレートで日本円に換算すると400円くらい。外国人料金です。現地の中学生のレシートを見せてもらったら、6セディでした。6セディあれば、お腹いっぱい食べられる何かを買えるくらいなので、現地料金としてもやや高めの値段設定である気がします。

街なかでは、通りを歩いているだけで、ガーナ人に声をかけられます。といっても親しみを込めて呼びかけられると言うよりは、珍しい外国人に対して絡んでいるような感じ。かけられる言葉は「チャイナー(アクセントは後ろ)」。彼らはアジア人=中国人と思っているみたいです。中国人以外のアジア人はほとんど住んでいないようなので、仕方ないことカモしれません。(ところで、本物の白人のヒトビトはなんと呼ばれているのでしょうね?白人はアジア人よりももっと少ないので、確認する機会はありませんでしたけども。)

その上、「中国人」ではなくて「中国」と国名を呼びかけるというのも、なんだかなー。我が国でも、コドモが外国人に向かって「ガイジーン」とはしゃぎ立てることは稀にあると思いますが、大の大人が「インドー\(^O^)/」「中国\(^O^)/」「アメリカ\(^O^)/」と大声を出しながら絡む場面はまずないので、かなり違和感を覚えました。

学校と同様、閉じた公共空間に入ると、ヒトビトは街なかでよりも若干親しみを込めて我々外国人に絡んできました。「チャイナー」ではなく、「How are you?」とか「Where are you from?」とか、もっと挨拶っぽい言葉をかけられます。学校帰りなのか、学校のアクティビティなのか、園内には小中学生の集団が結構たくさんおり、挨拶の後、さっそくおもむろに「お金をくれ」と言われました。

一体全体、どうして見ず知らずの大人に金をねだるのでしょう(^_^;)?
こういうあからさまなおねだりが功を奏することがあるとも思えないのですが…。

金くれ!

「写真を撮って」攻撃ももちろんあり、そして写真そのものは求めずに去っていきます。中学生にもなるとスマホを持っている子もいて、一緒に自撮りさせて、という新しい攻撃もありました。なにしろ「白人」は珍しいですからね。動物園の珍しいサルと同じなのでしょう。数人のグループの子らに捕まり、まずは全員で撮影、続いて一人ずつとそれぞれ撮影させられました。彼らほど積極的ではなかったでしょうが、二昔くらい前の日本もこんな感じだったのかもしれません(昔の日本では個々のコドモがカメラを持ってはいなかったので自撮りをしたわけではないですが、意識の持ち方として)。

珍しいおさる

ちなみに、動物園の方は動物が何も入っていない檻がちらほらあったり、草がぼうぼうに生えていたりして、きちんと整備されているとはいい難い状態でした。が、コドモたちは大いにはしゃいで楽しんでいるようでした。ある意味珍しい施設なので、一見の価値はありますが、純粋に動物園というレジャー施設を楽しみたい先進諸国出身のヒトは、行かないほうが良いと思います。

動物園でとても楽しそうにはしゃいでいるコドモたち
鈴なりのコウモリ。園で飼育しているわけではないケド
ソマリノロバ。日本では名古屋の東山動物園でしか飼育されていない。
柵によじ登ってコドモたちと遊びたがるアグレッシブな仔象さん

涼しい村のコドモたち

さて、筆者はそもそも旅行が大好きというわけでもなく、観光地をくまなく回ることにはあまり興味がありません。余所の土地に出かけると同じ場所に何泊もし、何もせずにのんびり過ごしたりするヒトなのです。観光地があまりないガーナはうってつけの旅行先なのですが、どういうわけか一箇所あたり2泊未満で移動することが続いており、最後の最後にようやく「観光資源が大してない村」で「なにもしない」をすることが叶いました。

村はガーナの東部に位置し、平坦なガーナの中にあってやや山がちな土地、標高は800mくらいですが、他の地域に比べると朝晩はかなり涼しいです。夜は快適に眠ることができました。「観光資源は大してない」ものの、村には「エコ・ツーリズム」を掲げた観光案内所があり、ここに赴任中の日本人女性の職場だったりしました。いちおう、観光名所として集落から50メートルほど高いところに山頂がある山だとか、雨季のみ水量が豊富で結構迫力のある滝だとかはあり、現地のツアーガイドに頼めば案内をしてもらえるそうです。が、山の方は案内がいるほどのものでもなく、たかだか20分ほどで山頂にたどり着けます。滝の方は案内なしでは難しいそうですが、外国人のカップルがガイドを頼んだら「今はそ言ういう気分じゃない」みたいな理由で断られたそうです。そんなわけで、山の方には勝手に2度ほど登ってきましたが、滝は行かずじまい。

観光案内所。現地ガイドが不熱心なので、開店休業状態のこともある
村のシンボル、ジェミ山
人口2000人の村だけど、ナゼかかなり立派な教育大学がある。

エコを謳うならってことで一度整備したのでしょうか、ネイチャートレイルというものもありました。若干熱帯雨林っぽい雰囲気はありましたが、村人がフツーに水汲みに通う道の一部であり、特に珍しいものもありません。(とはいえ、こういう道を歩くのはスキ)。途中に東屋の残骸がありました。日本の援助でつくられたものだそうですが、コドモたちが悪いことをするたまり場として利用されるという残念な過程を経て、ついに崩壊してしまったようです。

ココを歩いている時にも、通りすがったコドモたちに写真をせがまれました。で、撮ったら満足して去っていきした。

日本の援助で作られたと思しきネイチャートレイルの案内図
残念ながら、崩壊してしまった東屋
ネイチャートレイルで出会ったコドモたち

トレイルを抜けて集落内に戻り、木陰で一休みしていると、またしてもコドモたちが数人近寄ってきました。カメラを出していなかったので「写真撮って」攻撃はなかったのですが、ヤハリ「お金ちょうだい」と言われました。

就学前の小さな子どもたちだったためか、あまりおしゃべりもせず、こちらをじーっと見つめていました。たまたま折り紙を持っていたので、鶴を折ってヒトリにあげると、ホカの子も欲しそうにしていたので、一人ずつに折ってあげることに。折り紙が入った箱を覗き込んでくる子がいたので、紙をあげる、という素振りを見せたら…えー、バーゲンセールのワゴンに群がるオバサンのようにコドモたちの手が伸びてきて、何百枚もあった折り紙をあっちゅーまに持っていかれてしまいました(^_^;)。さすが金をねだる国のコドモたちw。お世話になった方へのお礼にくす玉を折ろうと思っていたので、3センチ厚ほど鷲掴みにしていった子から、半分ほど返してもらいましたが。

この話を現地赴任中の方に話したら、こっちのコドモたちは彼女があげた千代紙をクラスメイトに売ったりして小金を稼いだりもするんだとか。残念な気持ちになるので、以後、折り紙はコドモにあげないことにしているそうでです。

後日、村内を歩いていると「紙をちょうだい」と言い寄ってくるコドモに出会いました。筆者から奪っていった折り紙たちも売りさばかれていたのかなあ…。

コドモから取り返した折り紙で折ったくす玉。ガーナカラーですよ。

別の日、村の中を散策していると、小学校に行き当たりました。コドモたちが校庭に整列していて、朝礼中のようです。校庭を見渡せる丘にちょうどよい小陰があったので、一休みしていると、オトナの男性がこちらに近寄ってきました。小学校の先生のようです。で、どうぞコドモたちの前に行って、挨拶をしてくれ、とおっしゃる。

白人は珍しいですからね(^_^;)

こんにちは、ご機嫌いかが?みたいなテキトーな挨拶をすると、コドモたち、声をそろえて「Fine thank you, how are you?」と教科書通りの挨拶を返してくれました。

昨今、欧米のヒトは「How are you?」「Fine thank you, how are you?」みたいな、堅苦しい言い回しはあまりせず、「What’s up?」「Good!」といったカジュアルなやりとりをするのだけど、ガーナではしっかり「How are you?」と言われることが多かったです。

朝礼中の小学生
朝礼中の小学生の正面へツレてこられた(^_^;)
筆者を連れに来た先生(右端)
教室へ戻るコドモたち

小学校訪問のあと、頼みもしないのに幼稚園にも連れて行かれ、コドモたちに挨拶をさせられました(^_^;)
幼稚園でももう英語学習を始めているようで、ここでもしっかり「Fine thank you, how are you?」とお返事してもらえましたよ。

カメラを向けると、あからさまに恥ずかしがって机に突っ伏して隠れる子が多数いましたが、ニッコリとステキな笑顔を向けてくれた女の子もいました。

先生の前なので、さすがにココでは「金くれ」とは言われなかったです。

カメラを向けると恥ずかしがって机に突っ伏すコドモたち
超絶笑顔がカワイイ女の子
幼稚園の先生。ココでも子連れ出勤

この村での滞在中、たまたまガーナの独立記念日(3月6日)にあたり、村の広場で記念イベントが行われていました。イベントといっても、村のコドモたちをひたすら行進させ、偉いヒトが挨拶をし、次の選挙を狙っているという村の職員みたいなヒトがコドモたちのマーチングの様子を大げさに持ち上げる、というのが、炎天下の元でえんえん続いていただけですけども。ガーナの中では涼しい村ですが、赤道のすぐ北にあるわけですから、日差しは厳しいです。晴れ渡った空のもと、日陰でもないところに居続けるのはヤハリつらい。

村に赴任中の女性と一緒にマーチングを見守りながら「日本だったら、こんな炎天下にコドモを晒し続けるなんて、児童虐待的な問題になるよね」と苦笑いしておりましたとさ。

村のエライ人達
建国記念日のイベント中ずっと炎天下にさらされるコドモたち
イベント会場でのんきに遊んでいるコドモ
イベントを見学する村人、背負われているコドモ。コドモはこうやって布でくるんで背負われる。ガーナの女性はおしりが突き出ているからできるんだろうな。
イベント会場で絡まりあって遊んでいるコドモ