南のしまの食物

とある目的を果たすため、八重山諸島のとあるしまへ行ってきました。筆者が出発する直前、知り合いのお嬢さんが「『何もない』がある島へ行ってきました」と、ウレシそうにSNSに写真を投稿していたのだけど、「フフフ。そのしまには標高99メートルの山があるし、リゾートホテルや朝ドラのロケ地があるよね。ウチが行くしまはもっとナニもないのだよ。島はまっ平らだし、食事処は年に一軒の割合で廃業していき、昼ごはんを食べるところにも困るくらい。診療所の医師は一年と居付かずに逃走するしまなのだよ。」と、ヒトリほくそ笑んでおりました。因みに、件のしまは彼女が行ったしまから直線距離で10キロそこそこしか離れていないところにあります。

※件のしまでも朝ドラのロケが行われた形跡はありますが、ドラマの視聴率も島の知名度も格段に異なるため、ホボ知られていないようです。ウッカリ人気が出て観光客が押し寄せると嫌なので、しまの名前はナイショ。

目次

モズク採り

とある目的とは、モズクの採集。通常、スーパーなどで販売されているモズクは養殖もので、ポンプで吸い取って採集するそうですが、今回は天然モズクを手で採ります。実は昨年春にもトライしたのですが、時期が早すぎて収穫ゼロ。再チャレンジすべく一年前から虎視眈々と大潮の時期を狙っていました。

今回のモズクハンターは妙齢の女子三名と、女子のヒトリが長く定宿としている民宿のご主人。干潮の時間帯に浅瀬に繰り出しました。水中カメラがないので海中の様子は撮影できませんでしたが、ご主人いわく「鶴瓶の若い頃の髪の毛」みたいなモズクの茂みがそこかしこに生えていました。それらをひたすら手で摘み取って網袋の中に入れていきます。

採集後はゴミを取り除いて塩漬けにし、ペットボトルに詰めます。これで一年くらいは保存できるそうです。ゴミは主に海藻や砂ですが、時折星砂も混ざっていたり。「星砂なんちゃら」トカいう名前の浜が沖縄のそこかしこにありますが、ああいったところで土産物として売られている星砂は実は少し沖の海底から取ってくるらしく、「星砂なんちゃら」の浜でなくても星砂はフツーに存在するようですね。

因みに、塩漬けにする前のモズクは熱を加えると綺麗な緑色になります。ヤドの夕飯には生もずくの味噌汁を出していただきました。

ところで、このモズク採りの旅は、実は現地集合・現地解散。他の二人は休暇の期間が限られているので、モズクを取るや否や帰ってしまいましたが、ヒマな筆者は別のしまへ移動。八重山諸島最大のしま、西表島へ。八重山諸島のしまの中ではジブンが一番好きそうである予感はあったのですが、好きすぎてかえって持て余してしまいそうで、これまで行くのをためらっておりました。というわけで、八重山旅行三度めにして初上陸です。

ここでもさまざまなしまの特産食物に出会いました。

それぞれの収穫物を手にするモズクハンターたち
モズクのお掃除

南のしまといえばパイン

西表島の特産品といえばパイナップル。旬に入ったばかりで、そこかしこの無人販売所で格安の美味しいパインが販売されていました。

日本で無人販売所を見たことのある外国人の知人が、母国にもこういうのがあればいいのに思ったそうですが、商品やオカネを盗むヒトが多すぎるのでまず成り立たないだろう、と言っていました。こんなことができる環境は、意外とレアな我が国の美点カモ。

西表島のパイナップル畑
パイン旬入り宣言ののどかな記事(*´∀`*)
冷凍パイン棒
グアバアイス、冷凍唐辛子も売られていました

冷蔵庫が置いてある販売所もあり、カットパインやパイン棒が買えることも!100円クラスのパインがほぼまるごと刺さって100円ですから、お得ですよね。

ジャングルで遊びすぎて営業時間中に食事処にたどり着けず、手持ちのオヤツを昼ごはん代わりにしていたトコロ、体よくエネルギー補給ができました。

ある朝、同宿のおっちゃんらが、朝早くからパインの買い出しにいくというので一緒に連れて行ってもらいました。ヤドの女将さんおすすめの、安くて美味しいパインの販売所です。女将さんいわく、コレだけの出来なのに生産者の方が謙虚すぎて品質に自信が持てないでいるから安いそうで「来年は自信がついて高くなっちゃったらヤだな~」とのことでした。

おっちゃんたちはおみやげとして送るつもりらしく、何十個も箱買いしていました。それでも足りなくて、翌朝も買い占めにいったようです。

200円のも250円のもそう変わらない大きさなので、筆者は200円のが一個欲しかったのですが、おっちゃんにすべて買い取られてしまいました…。

女将さんおすすめの販売所
石垣港のパインはちょっとお高め
スナックパインはちぎって食べられます
コレだけあって500円!一番大きいのは250円ですが、ホカは100円や50円。小さくても十分甘くて美味しいです。手前右はピーチパイン、左がスナックパイン、奥はサマーゴールド。

しまらっきょうが安い!

無人販売所には野菜も置いてあります。しまらっきょうがたっぷり入ってなんと200円!本土に比べるとずいぶん安いです。

これはおっちゃんたちとともに一晩で食べ尽くしてしまいましたが、ヤドに出入りしている近所の方が、筆者がヤドを発つ際、販売所で買った量の倍くらいのしまらっきょうを持たせてくれました。お家で栽培してるんですか?と訊いたら、「違うよ。友達ンとこの」との答え。え。友達ンとこの取ってきていいの(^_^;)?

無人販売所のしまらっきょう、
コレだけ入ってなんと200円!
ヤドの近所の方から頂いたしまらっきょう

ジャングルの青パパイヤ

おすそ分けはしまらっきょうだけにとどまらず。おっちゃんらがある日外から帰ってきたかと思うと、食堂の机にドサッと置いたのは大量の青パパイヤ。ジャングルで採ってきたそうです。女将さんに料理してもらうのはもちろん両親、筆者にもおすそ分けしてくれたので、ありがたく頂戴して持ち帰りました。

煮物や炒め物にしても美味しいそうですが、タイ料理のソムタム(青パパイヤサラダ)を作ってみることにしました。タイで食べたことはありますが、作るのは初めてです。作り方をぐぐってみると、材料を切って叩き混ぜるだけなのでずぼらな筆者でもできそう。専用の鉢やパームシュガーなど揃わない道具や調味料もありますが、それは代用品で。正しい味かどうかわかりませんが、それらしいものはでき、友人らにも好評でした。

タイの屋台では注文を受けるとその都度調理してくれるようですね。

参考にしたレシピは昔ながらのパパイヤの切り方が解説されています。なんとまな板を使わないでナイフだけで千切りしちゃいます!近頃は専用のピーラーを使うことも多いようです。

日本エスニック協会のソムタムレシピ

おっちゃんにもらった青パパイヤ
ソムタムの材料。意外と簡単に揃えられました。
ソムタム完成\(^O^)/

ほしずな亭の絶品ふーちゃんぷるー

とある日のお昼どき、女将さんが猛烈に推す食堂「ほしずな亭」に行ってみました。隣におしゃれっぽいレストハウスがあるけどそっちじゃないから、と念を押されました。

「星砂なんちゃら」という西表島の観光名所のすぐ近くに、いい感じに寂れたちっちゃい建物が。客は筆者のみ。とはいえ窓からの眺めがなかなか良く、お値段は手頃で量はたっぷりの沖縄家庭料理を出してくれ、大満足。女将さんのおすすめポイントは、味もさることながら量が多いことだそうです。

ホカにも「唐変木」というイカスミそばが美味しいお店を紹介してもらいましたが、ソコも量が多いのだそうです。あいにく定休日続きだったため食事はしていないのですが、木々がモジャモジャ茂った雰囲気の良さそうなお店でした。

ほしずな亭ではふーちゃんぷるーをいただきました。麸がふわふわで、ほんとに美味しい!女将さんもジブンで作ることはあるものの、ほしずな亭のおバアの作るふーちゃんぷるーとはドコか違う、のだそうです。

山羊汁、牛汁もおすすめだそうです。夜も営業していて、ビールや泡盛も飲めます。

ほしずな亭

ほしずな亭のふーちゃんぷるー定食

山羊汁といえば、ヤドの親戚の方が飼っているヤギの出産に立ち会いました。正確には仔ヤギが生まれた直後、自分の足で立ち上がるところを見届けました。ぷるぷる震えながらようやく立ち上がったと思ったのに、2~3時間後にはそこらを跳ね回っていました。

沖縄の離島では、ヤギが草むらで草をむしゃむしゃ食べているのをよく見かけます。キホン、食べるために飼っている場合が多く、何かお祝い事があると潰して食べてしまうそうです。

お母さんヤギには名前がついていましたが、名前がついているからといって食べないとは限らないそうです。今回生まれた仔ヤギちゃんも、いつか食べられてしまうのでしょうか。

生まれたばかりの仔ヤギちゃんとお母さん
ちょろちょろ歩き回る仔ヤギちゃん

ビンテージしま酒

沖縄のお酒といえば泡盛。しま酒とも呼ばれるようです。西表島には現在酒造所はありませんが、石垣島には数カ所あります、もっともポピュラーなのは請福酒造の「請福」でしょうか。空港から港へ向かう途中に工場があり、見学させてもらえます。

これまでも小ぶりな瓶入り泡盛を買って帰っていましたが、今回はナニを血迷ったか請福の紙パック酒を一升買い込んでしまいました。お酒はソコソコ好きですが、実はヒトリで家呑みはあまりしません。飲んだとしても蒸留酒は一回あたり一合程度が限界。果たしていつ飲み終わるのか?

請福一升紙パック

しかし心配は杞憂に終わります。帰宅して二日後に開催した酒豪女子会であっさり半分ほど消費されました。既に第二弾酒豪女子も予定されており、その時点で空になるのは必至でしょう。

ところで、西表のヤドの女将さんのお兄さんが、秘蔵の古酒(クースー)を飲ませてくれました。古酒といっても販売されているものではなく、フツーに売られている一升瓶のしま酒をお墓の中に何年も置いておいたものだそうです。沖縄のお墓は住めるカモ、と思うほど大きく、中は立って歩けるほどの高さががあるようです。お墓の中は温度が一定なので古酒の熟成に適しているのだとか。身内が亡くなったときなどに酒瓶に名前と日付を書いて入れておき、頃合いを見てジブンの分を取り出して飲むのだそうです。値段をつけるとすると何万円にもなるとかならないとか。ときにはお墓にお酒泥棒が入ることもあるとかないとか。

筆者が戴いたのは2001年から熟成しているものだったので、16年ものですね。(言われてみれば)紙パック酒よりは喉越しがまろやかであるような気もします…。

ゴキブリに糊を舐められてラベルはボロボロ
金属部分は錆々…

しまのお土産

八重山の離島には大きな店舗はないので、食物のお土産を買うなら石垣島のスーパーがおすすめ。空港行き路線バスの「サンエー前」で降りると、マックスバリュと沖縄県のチェーンスーパー・サンエーがあります。フツーの沖縄食材がフツーのお値段で買えます。

沖縄県ではおなじみのスーパー、サンエー
サンエーの隣のマックスバリュ

酒豪女子会でジーマミー豆腐が出せたらいいカモと考え「ジーマミー豆腐の元」あるいはピーナツを粉末にしたものでもないかと思って探したのですが、見つからず。代わりにチンビンというお菓子のミックス粉を買いました。

ジーマミー豆腐はピーナツバターからでもそれらしいものが作れるようですね。

ちんびんミックス
マックスバリュのイートインスペースで
ジーマミー豆腐を食べる(´~`)

お昼ごはんは空港のフードコートで食べようと考えていたのですが、スーパーの惣菜コーナーの食物に目を奪われ、ココで買っていくことに。紫芋のかき揚げ、じゅーしーおにぎり、イカスミじゅーしーかまぼこなどなど、いかにも沖縄らしいものばかり。

かまぼことは、はんぺんみたいな練り物のことで、そのかまぼこでじゅーしー(炊き込みご飯)のおにぎりを包んだものがじゅーしーかまぼこ。石垣島の名物です。今回買ったのはカレー味のじゅーしーをイカスミかまぼこでつつんだブラックじゅーしーです。

金城かまぼこ

ブラックじゅーしー。中はカレー味のゴハン。
紫芋とかぼちゃのかき揚げ
沖縄ぜんざい用の煮豆
カキ氷と一緒に食べる

出発前に空港のアイスクリームやさん・ミルミル本舗で沖縄ぜんざいを食べようと考えていたのですが、スーパーにぜんざいの元があったのでこれで代用しようとしたら、大いに失敗。氷と一緒に食べることを前提としているので、単独で食べるにはちょっと甘すぎました。

ミルミル本舗で氷だけ売ってくれないかなーと思い、トライしたのですが、ヤハリ無理でした。というか、杓子定規なお姉さんが沖縄ぜんざいがどのように構成されているのかとくとくと語り始めてしまったので、なにゆえ氷がほしいのか説明するのがめんどくさくなってあきらめました。とはいえ、空港のおシャレ店舗ではそういうイレギュラーには対応してくれなさそうではあります…。

ミルミル本舗

帰りの預入荷物は行きに比べて5キロ以上重くなっていましたが、なま物はホボ無料で入手しているので、そんなに買い込んだワケでもないんですよね…。南のしまゆえのユルさが、滞在中も帰宅後も豊かな食生活を安価に提供してくれました。

来年も行きます、モズク採り(*´∀`*)